決算書読み方Check
決算書の読み方能力 レベルチェック
「粗利益とは何か」「会社の良し悪しを判断するには何を見たら良いか」「繰延資産とは何か」「有価証券の時価評価はどのように行われるのか」。
基礎的なレベルから、やや高度な質問まで、会計に関する知識を確認する問題をご用意致しました。
「会計は難しくてわからない」という方にも、「もうそんなことは知っている」という方にも、ぜひ問題に挑戦して、決算解読力に磨きを掛けていただきたいと思います。
中級編
1.リストラのチェック
■当期において、従業員を大幅に削減するというリストラを行いました。次期の損益計算書において予想される以下の記述のうち適切なものはどれでしょうか。
(1) 販売費及び一般管理費の減価償却費が減少する。
(2) 販売費及び一般管理費の法定福利費が減少する。
(3) 営業外費用の支払利息が減少する。
解答
2.特別損失と特別利益の組み合わせ
■当期の損益計算書では、経常利益が5千万円出る予定です。固定資産売却損が1億円発生しているので、決算期が到来する前に取得価額1億円の子会社株式を2億円で売却しました。以下の説明のうち適切なものはどれでしょうか。
(1) 経常利益は5千万円で、税引前当期純損失が1億5千万円予想される。
(2) 経常利益は1億5千万円で、税引前当期純利益が5千万円予想される。
(3) 経常利益は5千万円で、税引前当期純利益も5千万円が予想される。
解答
3.引当金の意味
■引当金とはなんですか。正しいものを選びなさい。
a.将来、費用や損失の発生が見込まれるとき、それに備えて支払うべきお金を貯めておくこと
b.将来、費用や損失の発生が見込まれるとき、それに備えて前もって費用や損失を見積もって計上すること
c.条件付債務の会計用語のこと
解答
4.不良債権(償却)とは何か
■貸付金200億円のうちA社に対する貸付金は100億円です。この1年、A社からの支払はほとんどなく、100億円の貸付金は回収されるかどうか疑わしい状態です。担保として、A社所有の土地に抵当権を付けています。土地の時価は貸付時100億円、決算期末の時価は50億円です。
以下の貸借対照表の状態ではどれが一番、不良債権処理が進んでいるでしょうか。
a.貸付金 200億円
貸倒引当金 △50億円
b.貸付金 200億円
貸倒引当金 △25億円
c.貸付金 100億円
貸倒引当金 △ 0億円
解答
5.繰延資産の意味
■繰延資産とは何ですか。正しいものを選びなさい。
a.繰延資産がないという会社は、商品の研究開発や市場開発を行っていないということであり、よくないということ。
b.繰延資産の会計方針を見れば、資産計上しているか、一時償却しているかがわかる。一時償却している会社のほうが、収益力があるといえる。
c.繰延資産がいくら計上されていても、会社の利益には影響ない。
解答
6.債務超過の意味
■ 債務超過とは次のうちどの状態をいうのでしょうか。
(1)負債の部の合計が純資産の部の合計(プラス)を上回っている状態
(2)固定資産の合計が純資産の部の合計(プラス)を上回っている状態
(3)純資産の部の合計はプラスで、欠損金がある場合
(4)純資産の部の合計はマイナスで、欠損金がある場合
解答
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解答:(2)
従業員が大幅に減少するので、その結果として販売費及び一般管理費の給与手当等の人件費が減少することが考えられます。
人件費にはこの他にも、賞与、厚生費、法定福利費があります。この法定福利費とは、従業員が支払う健康保険料や年金に関し、その約半額分を企業が負担するものです。従って、従業員が減少すれば、法定福利費も減少することが予想されます。
(1)の減価償却費の減少が予想されるケースは、規模の縮小により、工場等の設備を廃棄するようなリストラを行った場合です。
(3)の支払利息の減少が予想されるケースは銀行から債務免除をうけた場合などの借入金の圧縮を行った場合です。
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解答:(3)
取得価額1億円の子会社株式を2億円で売却しているので、関係会社株式売却益1億円が特別利益の部に計上されます。子会社の株式は頻繁に売買するものではなく、長期の投資目的で保有されるものであるため、その売却益は営業外利益ではなく、特別利益です。
固定資産売却損1億円が特別損失に計上されているので、特別利益に計上される関係会社株式売却益1億円をあわせると、特別損益はゼロになるので、経常利益5千万円と税引前当期純利益5千万円が同額となります。
子会社株式を売却しなければ、経常利益5千万円で、税引前当期純損失が1億5千万円になってしまいます。利益を捻出するためにこのようなことはよく行われることです。
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解答: b
当期において費用の発生があり決算期末においてその支払いをまだしていない場合は、費用の額が損益計算書に計上され未払金が貸借対照表に計上されます。
引当金の場合には費用の額が損益計算書に計上されることは同じですが貸借対照表に引当金が計上されます。
同じく負債ではありますが、未払金との違いはなんでしょうか。
未払金は金額が確定しており、債務が確定しています。それに対し引当金は発生そのものではなく発生の起因が当期以前にあるもの、また見積もりであるため将来支払う金額はまだ確定していないもののことです。金額が確定していなくとも、将来発生の可能性が高く、その金額が合理的に見積もり可能なら、当期において引当金を計上しておくほうが、財務的には健全といえます。
退職給付引当金は退職という条件により債務が確定する条件付債務です(ただし、会社に退職金規程がある場合)。引当金は条件付債務でなくとも計上すべきものであり、もっと広い概念です。
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解答:c
貸倒引当金とは、その回収が困難であると見込まれる場合に貸倒見積額をあらかじめ、貸倒引当金繰入額として損失計上し、金銭債権から貸倒見積額を控除する引当金をいいます。
c では貸倒引当金は0億円ですが、貸付金の金額が100億円に減っています。これは、A社に対する貸付金100億円を既に損失処理した結果であり、将来にわたって、A社に対する不良債権処理は終了したことを表しています。いわゆる直接償却というものです。
a と b はA社に対する貸付金を貸借対照表上に残したまま貸倒引当金で不良債権を処理しており、これを間接償却といいます。
a では、今決算期末での土地の時価が50億円のため貸付金との差額50億円を貸倒引当金として処理しています。ただし、これでは翌期末に仮に土地の時価が10億円になった場合、追加で40億円の貸倒引当金を計上しなくてはいけなく、不良債権処理が将来までひきずられる結果となります。
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解答: b
繰延資産とは、当期発生した費用のうちその効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいい、その結果、繰り延べられることになった費用は繰延資産として、資産に計上されてくるものです。
また、繰延資産として計上することができる項目については、原則として支出時に費用として処理しますが、例外として繰延資産として計上することが認められています。この場合には一定の期間にわたって、定額法等の合理的な方法により償却しなければいけません。どの会計処理を採用したかは、会計方針をみればわかります。支出時の費用として処理しても利益が見込める企業は早めに処理を行うため、収益力があるといえます。当期に支出時の費用として処理すれば、当然、繰延資産は計上されてきません。
・株式交付費・・・・・株式交付のときから3年以内
・社債発行費・・・・・社債の償還までの期間
・創 立 費・・・・・・会社の成立のときから5年以内
・開 業 費・・・・・・開業のときから5年以内
・開 発 費・・・・・・支出のときから5年以内
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解答:(4)
債務超過の状態とは、負債の部の合計が資産の部の合計を上回っている状態をいいます。つまり、現在ある資産を全て売却して現金にかえたところで、負債の金額を全て支払うことができない状態にあることをいいます。
債務(負債)が資産を超過している状態であり、これを債務超過といいます。純資産の部がマイナスということは株主から出資された資本金を全て食いつぶしてなおかつ、損失がある状態であり会社が存続していく上で危険な状態です。純資産の部がプラスであるかぎりは、債務超過ということはありえません。
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